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▲国道163号線からのぞむ笠置山
誰の言葉か、「軍書に悲しき笠置山」。笠置山は、文学作品の舞台として、あまりにも有名です。
古く『枕草子』に、「寺は、壺坂。笠置。」また、平安時代末に成立した『今昔物語集』には、天智天皇の皇子が仏に助けられた報恩の目印に、笠を置いたから笠置と言うようになったとの、地名起源説話が載っています。
さらに、中世の軍記物語『太平記』には、元弘の変、所謂(いわゆる)笠置合戦の様子が詳しく語られています。後醍醐天皇・楠木正成等が登場するこの話は、戦前の国史教科書にも載り、全国民に知られました。「さして行く・・」の御製(ぎょせい)は、年輩の方の殆(ほとん)どが暗唱しておられるのではないでしょうか。
笠置合戦は、『太平記』前半のハイライト、理屈抜きにその面白さに引き込まれます。力強い躍動的な文体、また哀切(あいせつ)な表現、時に滑稽(こっけい)な要素までも含んでおり、「古典」の堅苦しいイメージを取り除いてくれる、大衆小説的な側面をも持つ名文です。是非、『太平記』の原文で味わいたいものです。
頼山陽の笠置山来遊
笠置山は、古来弥勒(みろく)信仰の霊地として参詣者を集め、また修験者の修行地でもありましたが、江戸時代尊皇(そんのう)の思想が盛んになるにつれて、尊皇の聖地と目されるようになったようです。
尊皇の思想といえば、江戸後期のベストセラー『日本外史』の作者頼山陽(らいさんよう)が思い浮かびますが、山陽は2度笠置山を訪れています。
1度目は文政10年(1827)、母を伴い、笠置出身の弟子、大倉笠山の案内で笠置山に登りました。笠山の実家で宿泊し、帰途、木津川を船で下る途中、『笠置山。元弘の行在所(あんざいしょ)を観て作れる歌』という題の漢詩を作っています。長い詩なので引用を控えますが、元弘の変の故事を想い、悲憤の情を吐露(とろ)したものです。
2度目は天保2年(1831)の春、弟子と共に月ヶ瀬観梅に行った帰りに、田山・大河原を通って笠置山に登っています。弟子の関藤桐陰の記録には、この時山陽は、登山後、宿から川を臨(のぞ)み茶を煎(せん)じてくつろぎ、夜になって酒を呼び、元弘の事を語って止まなかった、と記してあります。
山陽に限らず、江戸時代の笠置を詠んだ漢詩には、元弘の故事に触れ、尊皇のロマンチシズムを表現したものが多いようです。
江戸時代の文人では、地元出身の大倉笠山の名も、私達は記憶に留めるべきでしょう。
▲戦前の国定教科書「笠置合戦」の記述
近現代の短歌
明治以降も笠置山には多くの文人達が訪れました。会津八一・川田順・与謝野礼厳(鉄幹の父)等の歌が残り、陳舜臣・永井路子等、現代作家による紀行文もあります。
それらの中から、窪田空穂(1877〜1967)の歌を紹介しましょう、
@木津川を 遡(さかのぼ)りくれば
笠置山 山の気の澄みて
桜咲き照る
A咲く桜 すかし見下ろす
深き谷 木津川長く
濃き藍(あい)を引く
歌集『冬日ざし』より。歴史への感慨や信仰の思いを詠んだものが、やはり多い近現代の短歌の中で、空穂の歌は、純粋な叙景歌です。桜の季節に笠置山に登っての作。笠置を知る私達の実感に、よく合った歌ではないでしょうか。
@の歌。笠置の「山の気」は、確かに澄んでいます。国道163号線を東に向かうとき、笠置辺りまで来ると、ふっと空気が変わり、静寂な気配を感じるのは、私だけではないでしょう。
Aの歌。笠置山は、史跡や石の仏もよいが、見下ろす風景が素晴らしい。眼下を流れる渓谷の水の色は碧(みどり)で、それが幅を広めて瓶原(みかのはら)へと流れてゆきます。桜の頃の笠置は、いっそう澄んだ気が漂(ただよ)っていることでしょうか。
現在笠置を訪れる観光客は年間約50万人、そのうち笠置山に登る人は、5万人程であるということです。秋に、散策を楽しむ人が最も多いと、笠置寺のご住職のお話でした。
■著者プロフィール■
小西 亘(こにし わたる)
1958年、南山城村に生まれる。82年より京都府立高校に勤務。現在府立南陽高校国語科教諭。『注釈青谷絶賞』『「月瀬記勝」梅蹊遊記訳注』執筆。
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