
昨年8月、静岡で開催された第66 回全国茶品評会の審査風景
今年は、全国茶品評会(以下全品と略記)が15年ぶりに京都で開催されます。
お茶は保存の利く食品で、また製品の品質差が大きいことから、品質の実情把握や技術向上を目的に、品評会が盛んに開催されてきました。
初期の品評会は、明治12年に開催された第1回製茶共進会等の例があります。全品は、煎茶のほか、玉露、日本茶の源流であるてん茶(抹茶の原料茶)など、宇治茶を代表する茶種を対象に、昭和22年の第1回から毎年開催され、本年で67回を数えます(第12回までは全国製茶品評会として開催)。
これまで全品が果たしてきた役割を顧みますと、戦後復興期は、衰退していた茶業が質、量ともにめざましい進歩を遂げる上で、栽培、製造両面の技術向上に貢献しました。
その後、煎茶を中心に機械摘採の導入、製茶機械の大型化がすすむなど、茶業が急速に成長した時代には、生産拡大の一方で、労力不足や産地間競争の激化等の課題がみられるようになり、お茶本来の良さや、産地の特徴とはなにかという課題を広く考える場となりました。
さらに、転換期にある近年は、生産コスト増、消費の伸び悩み等の新たな課題を抱えており、特色ある優れた茶をつくる技術が競い高められ、その成果を日常の茶業に生かすための場としての役割が改めて重要になっています。
こうした成果を担ってきた審査の実際は、7月号で紹介された、昭和10年米国刊の「オール・アバウト・ティー」にも詳しく書かれており、現在と同様の審査法が確立されていた様子です。審査には「外観、香気、水色」など、お茶の本分である「味」以外の項目があります。これはなぜか、といいますと、「均質でやわらかな新芽を用い、適正に製造する」といった、よいお茶作りをするための基本要件への適合を多角的に評価するためで、全国から選抜された茶を対象にこうした評価を重ねることにより、品質や栽培・製造技術に関する全国的なレベルの維持、向上が図られてきたのです。