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(※1)「茶の成分に関する研究
─ 新Amide“Theanine”に就いて─」
(1950)酒戸弥二郎
(※2)「L- テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響」
(1998)小林加奈理ほか
(※3)『茶の機能と |
緑茶にはアミノ酸、カテキン類、カフェイン、ビタミン類、ミネラルなど様々な成分が含まれています。アミノ酸はうま味、カテキン類は渋味、カフェインは苦味と深く関係しています。うま味をもたらすアミノ酸には緑茶特有のテアニンが多く含まれており、今回はこのテアニンについて紹介します。
古くから、緑茶の中でも玉露やてん茶は特にうま味が強いことが知られていましたが、要因は明らかになっていませんでした。戦後まもなく、当時の京都府立茶業研究所長の酒戸弥二郎は、強いうま味をもつ玉露が煎茶よりも多くの窒素を含んでいることからうま味が水溶性窒素の中に存在すると考えて研究を始めました。そして1950年、ついに茶の浸出液中から1つの新しいアミノ酸を発見し(図1)、当時の茶の学名Thea sinesisにちなんでテアニン(Theanine)と命名しました(※1)。
テアニンが豊富な玉露やてん茶の味わいは、私たちにゆったりとした気分をもたらしてくれます。これには科学的な根拠があることが徐々に明らかになっています。テアニン200mgを飲用し脳波を測定すると、リラックス状態の時にみられる脳波(α波)が飲用40分後から現れ、テアニンのリラックス効果が示されました(※2)(図2)。また、血圧低下作用、睡眠改善効果、ストレス軽減効果がある可能性も報告されています(※3)。
疲れた時などに、緑茶を飲むと安らぎを感じられるのは、テアニンがもたらすうま味やリラックス効果によるものであり、お茶に含まれるテアニンは味と機能性の両面で重要な役割を持っているといえます。